プライス戦略とプレイス戦略は、企業の成功の鍵を握る2つの重要な要素です。
プライス戦略とは製品やサービスの価値をどのように数値化するかについてです。
プレイス戦略とはその価値をどのように顧客に届けるかについてです。
市場が日々変化する中で、企業はこれらの戦略を駆使し、収益の最大化と競争力の強化を目指さなければなりません。
本記事では、効果的な価格設定方法と、製品を市場に効率的に展開するための流通戦略について、わかりやすく解説します。
プライス戦略による収益最大化と競争力強化の手法
プライス戦略とは、製品やサービスの価格をどう設定するかについての戦略です。
価格設定は企業の収益に直結し、顧客の購入意欲にも大きく影響します。
以下の表にて、価格設定の基本的なアプローチと、それを用いて業績を向上させる方法を簡単に説明します。
価格設定方法 | 説明 |
自社基準の 価格設定 | 製品の製造コストに目標とする利益を上乗せして価格を設定。 (例)ベーカリーがメロンパンの製造コスト100円に30%の利益を上乗せし、130円で販売。 競争が少ない市場で効果的。 |
顧客基準の 価格設定 | 顧客の需要と認識する価値に基づき価格を設定。 アンケートで顧客の感じる適正価格を調べ、それに基づいて価格を決定。 特定の時間帯や顧客層に応じた価格変動もある。 |
競合基準の 価格設定 | 競合他社の価格設定を参考に自社の価格を決定。 (例)ガソリンスタンドが近隣競合よりわずかに安い価格を設定し顧客を引きつける戦略。 |
高度なプライス戦略には、次のような方法があります。
高度なプライス戦略 | 説明 |
値下げして 利益を上げる | 固定費が高く変動費が低いビジネスでは、価格を下げて販売量を増やし、 結果として利益を増やすことが可能。 |
価格を臨機応変に 変える | 在庫を持ち越せない製品やサービスでは、需要に合わせて価格を変動させて 売上と利益を最大化。 (例)飛行機チケット賞味期限間近の商品の価格変動 |
赤字販売で最終的に 利益を得る | 最初は赤字でも、長期的なサービスや消耗品の販売で利益を上げる戦略。 (例)携帯電話の無料提供やプリンター本体を安くしてインクで利益を得る |
これらのプライス戦略を上手に使い分けることで、企業は収益を最大化し、競争優位性を高めることができます。
ねこ社長がわかりやすく解説
プレイス戦略の効果的な流通チャネル選択による市場への製品展開
プレイス戦略は、製品をどのような流通チャネルを通じて顧客に届けるかを決定するプロセスです。
※チャネルとは、集客するための媒体、経路のこと。
製品を販売する場所や方法を決めるために、流通網の幅、長さ、組み合わせを考慮する必要があります。
流通網を自社で構築する場合、自社製品の流通をよりコントロールしやすくなりますが、大規模なネットワーク構築には高額なコストがかかり、計画通りに進まないリスクもあります。
フランチャイズモデルを採用すると、これらのリスクを軽減できる可能性があります。
一方、他社の流通網を利用する場合は、初期投資が少なくて済みますが、流通業者による製品の扱いに自社のコントロールが及ばない可能性があります。
流通網を利用する際には、製品をどのように広くまたは限定的に流通させるかについて、次の3つのチャネル戦略が考えられます。
チャネル戦略の タイプ | 説明 |
開放型チャネル戦略 | すべての流通業者に製品を開放し、広範囲に販売する方法。 販売機会が増えるが、生産者のコントロールが効きにくいというデメリットがある。 |
選択型チャネル戦略 | 流通業者を選定し、一定の基準に基づいて製品を提供する。 流通業者との関係が強化され、製品の管理がしやすくなる。 しかし、販売機会が限られる可能性もある。 |
排他的チャネル戦略 | 特定の流通業者のみに販売権を与え、他の業者には提供しない方法。 流通のコントロールがしやすくなり、ブランドイメージを守りやすい。 しかし、販売チャネルが限定される。 |
これらの戦略を適切に選択し、実行することで、製品を効率的かつ効果的に市場に届けることができます。
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製品流通の計画とチャネル選択の最適化
繰り返しになりますが、プレイス戦略は、製品を顧客に届けるための流通チャネルを計画することです。
この戦略で考慮する主な点は、製品をどのように、どこで、そしてどの流通業者を通じて販売するかです。
自社で流通網を構築することも、他社の網を利用することも可能です。
利用する流通チャネルには、直接販売から複数の業者を介するものまでさまざまな形態があります。
排他的チャネル戦略は、特にブランドイメージの維持が重要な製品や、専門的な知識が求められる製品に適しています。
ただし、あまりにも流通業者を限定しすぎると販売機会を逃す可能性もあります。
流通チャネルの長さも重要な要素で、これは製品が最終消費者に届くまでのステップ数を意味します。
0段階チャネルは最も直接的で低コスト、1段階や2段階チャネルでは小売業者や卸売業者が介在し、3段階チャネルはさらに多くの中間業者が関与します。
チャネルが長くなるほど、在庫や流通コストが増加し、管理が複雑になるリスクも高まります。
最適な流通網を築くためには、これらのチャネルを組み合わせる「チャネルミックス」を検討する必要があります。
製品の性質、市場の特性、競合の戦略、そしてコストを考慮して最も適したチャネル戦略を策定することが、効果的なプレイス戦略を実行する鍵です。
全国的な展開を目指す場合や特定の地域に絞る場合など、ビジネスの規模や目標に合わせた流通業者の選択が成功への道を開くのです。
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まとめ
企業の利益増加と市場競争力向上に欠かせない戦略である。
製品価格の設定が企業の収益と消費者の購買意欲に大きく影響する。
プライス戦略では、自社基準、顧客基準、競合基準のアプローチを含む複数の価格設定方がある。
価格変更の柔軟性、値下げによる利益増、赤字からの利益回復などの高度な戦略がある。
プレイス戦略では、製品を市場に届けるための流通チャネルを決定。
自社で構築する流通網と他社の網を利用する選択が含まれる。
開放型、選択型、排他的などの流通戦略が存在。
流通チャネルの長さも考慮し、0段階から3段階のチャネルを選択します。
適切なチャネルミックスを用いることで、製品特性と市場ニーズに合った流通戦略を策定し、効果的な市場への展開を実現する。
今日はここまでです。では